隠岐の海の恵みを獲り継ぐ、西ノ島の漁師たち。
西ノ島の漁師たち
西ノ島の漁業
FISHERY

西ノ島の漁業

全てに誇りを。

ダイナミックな自然に溢れた西ノ島、その周りを護る日本海。
荒波に削られた断崖は、自然の美しさと険しさが同居する象徴だ。
そう、この険しくも愛おしい自然が私たちの漁場、つまりフィールドである。

私たちは自然に逆らわず、うまく海と対話をしながら漁をする。
ありのままを大切にするからこそ、このフィールドは特別に豊かだ。
鮮度と旨みに嘘はつけない。

私たちは、この島に誇りを持っている。
この漁に誇りを持っている。
そして、当然に、ここで獲れるもの全てに誇りを持っている。

だから今日も船のエンジン音を、美しい自然に響かせる。

島根半島の北東約65kmに位置する隠岐諸島には、西ノ島・中ノ島・知夫里島・島後(どうご)の4つの有人島があります。このうち、西ノ島・中ノ島・知夫里島の3島は島前(どうぜん)と呼ばれ、魅力ある島々が連なってひとつの地域を形作っています。西ノ島町は、この島前地域のうち西ノ島全体でひとつの町を形成する自治体です。

西ノ島を支える主な産業は、漁業・畜産・観光です。中でも漁業は、四方を海に囲まれ、近海に恵まれた漁場を持つことから、島で最も盛んな産業となっています。西ノ島の中心的な神社であり、隠岐国一宮として古くから信仰を集めてきた由良比女神社には、イカが浜へ寄ってくるイカ寄せ伝説が伝わっており、古くから水産とともに歩んできた西ノ島の歴史を今に伝えています。

隠岐の周辺海域は、沖合が浅い大陸棚になっており、黒潮から分かれ北東へ流れる対馬暖流の影響で、魚が豊富に集まる良い漁場が広がっています。四季を通じて多彩な魚介が獲れ、島の漁業を支える大切な資源となっています。島根県は全国でも上位の漁獲量を誇り、その中でも隠岐は県内有数の漁場として重要な役割を担っています。

漁師たちが漁で獲った魚介は、浦郷港にあるJFしまね浦郷支所に水揚げされます。一部は島内で競りにかけられたのち、フェリーで境港(鳥取県)へと運ばれ、新鮮な海の幸として各地へ届けられます。漁業のスタイルは人それぞれです。ひとつの漁法に打ち込む人もいれば、季節や漁場に応じて複数の漁に取り組む人もいます。それぞれが自身に適した漁法で船を操り、潮風を受けながら海と向き合い、日々の漁業に従事しています。

西ノ島で漁業を行う漁師が集まり、将来の世代に豊かな海を引き継ぐことを目標に活動しています。種苗放流による資源保護や、鮮度保持・流通改善への取り組みによって魚価の向上を図るほか、首都圏を中心としたPR活動を通じて新たな販路の開拓も進めています。さらに、新しい漁法の開拓や視察、勉強会などを通じた情報共有の場づくりに加え、島内外の人々との交流や情報発信にも力を注ぐことで、地域漁業の活性化と集落の漁業再生を目指し、西ノ島の関係者が一丸となって日々取り組みを続けています。

まき網漁業 まき網漁業2 まき網漁業3

まき網漁業

夜間の集魚灯に集まってくるイワシ、アジ、サバなどの魚の群れを網で巻き取り漁獲する漁法を「まき網漁」といいます。網の形から「きんちゃく網」とも呼ばれ、網をたぐる網船、魚の群れを探し集魚灯で誘導する灯船、漁獲した魚を港まで運ぶ運搬船で船団を編成し、操業が行われます。

船団の乗組員と聞くと、何か月も海上で生活する遠洋漁業を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、西ノ島のまき網船団は異なり、夕方に出漁し、朝には帰港する形で操業が行われています。西ノ島には、3社のまき網船団があり、漁師たちは日々海に出て漁業に従事しています。

株式会社 一丸 TEL. 08514-6-0898

浦郷水産 株式会社 TEL. 08514-6-0211

有限会社 共幸水産 TEL. 08514-2-2126

定置網漁業 定置網漁業2 定置網漁業3

定置網漁業

海岸近くの魚の通り道に網を垣根のように設置し、回遊魚を待ち受けて漁獲する漁法を「定置網漁」といいます。通り道に網が設置されると、回遊する魚はその網に沿って沖へ泳ぎ、網の中に入ります。島内には大小の定置網が設置されており、この方法によって、イワシやアジ、タイ、ブリ、イカなど、沿岸を回遊する多種多様な魚介が漁獲されています。

定置網漁は、早朝、まだ暗いうちに港を出て、船で約60分かけて漁場へ向かうところから始まります。仕掛けた網に入った魚を引き揚げ、港で水揚げを行います。その後は魚の選別や出荷、網の補修や船の清掃などの作業を行い、おおむね昼前後には一日の作業が終了します。また、定置網で大量に水揚げされた魚は自由販売も行われ、販売がある場合には島民も購入することができます。

刺網漁業 刺網漁業2 刺網漁業3

刺網漁業

魚が回遊する通り道に、網を設置し、魚を網の目に絡ませて漁獲する漁法を「刺網漁」といいます。水揚げされる魚種には、青物(ブリ・ヒラマサ・イナダ)やマダイなどがあり、季節によって多彩な魚が姿を見せます。西ノ島では刺網漁を行える漁師は少なくなっていますが、水揚げ量が多く、島の漁業に欠かせない漁法として今も大切に続けられています。青物を中心に、1日に数十箱の魚が水揚げされることもあります。

刺網漁は夕方から夜間にかけて行われることが多く、出漁後は魚群探知機などを使って魚の反応を丁寧に確認しながら、状況に合わせて網を仕掛けます。仕掛けた網はおよそ30分で巻き上げられますが、反応がない場合は明け方まで漁場を探し続けることもあり、漁師の経験と判断力が特に問われる漁法です。

一本釣漁業 一本釣漁業2 一本釣漁業3

一本釣漁業

5トン前後の小型漁船を使い、魚を釣り上げる漁法を「一本釣漁」といいます。水揚げされる魚種には、タイ、ヒラメ、青物(ブリ・ヒラマサ・イナダ)、根魚(キジハタ・クエ・メバル)などがあります。西ノ島では、漁師が最も多く取り組む漁業です。

一本釣漁では、対象となる魚によって仕掛ける針の数が異なり、最大で50本ほど使用されることもあります。漁は沿岸の瀬や人工漁礁など、魚が集まるポイントで行われます。曳縄漁も一本釣漁の一種で、ヨコワ漁などに取り組む漁業者もいます。また、限られた水産資源を守るため、積極的に放流活動にも取り組んでいます。マダイ、キジハタ、クエなどを放流することで、貴重な水産資源の枯渇を防ぎ、持続可能な漁業の維持を目指しています。放流活動は、島根県や関係機関の協力を得ながら行われ、資源保護の効果を高める取り組みが進められています。

採介藻漁業 採介藻漁業2 採介藻漁業3

採介藻漁業

貝や海藻を手や道具を使って採取する漁法を「採介藻漁」といいます。西ノ島では、海岸近くの浅い場所で船の上から箱メガネを使って海中をのぞき込み、やすのような漁具でアワビ、サザエ、ナマコ、ワカメ、モズクなどを採るかなぎ漁が主流です。かなぎ漁は年間を通して行われ、季節によって海の表情や獲れる種類が変わるため、漁師たちは日々海と向き合いながら作業を続けています。

さらに、7月中旬から9月中旬には漁業協同組合JFしまね浦郷支所の組合員を対象に特別な許可が出され、漁師だけが挑む素潜り漁の季節が訪れます。透明度の高い海で潜り、熟練の勘と技でアワビやサザエを獲る姿は、夏の西ノ島を象徴する光景です。水揚げされたサザエは島内で加工され、缶詰などのお土産品として多くの人に親しまれています。

養殖漁業 養殖漁業2 養殖漁業3

養殖漁業

西ノ島は、日本で初めてイワガキ養殖に成功した「イワガキ養殖発祥の地」であり、平成4年の誕生以来、徐々に隠岐各地へ広がり、本格的な生産が始まりました。西ノ島で養殖されるイワガキは「隠岐のいわがき」としてブランド化され、厳しい規格と安全基準のもとで丁寧に育てられています。

イワガキは出荷サイズに成長するまでに約3〜4年を要し、「海のミルク」とも呼ばれる、マイルドな口当たりと磯の香りが特徴です。旬を迎える3月から6月にかけて、全国へ出荷されます。また、イワガキのほかにも、ヒオウギ貝、アワビ、ワカメなどの養殖が行われています。養殖された水産物は手間や時間がかかりますが、比較的安定した品質と量を確保することができます。西ノ島湾内は島前3島に囲まれ、穏やかな海域と豊かな自然環境が揃っており、養殖に最適な条件が整っています。

FACILITIES

漁業関連施設

西ノ島の漁業を支え、地域の水産業のさらなる活性化を支える、各種施設とその取り組みをご紹介します。

漁業協同組合JFしまね浦郷支所

西ノ島の漁業を支える中心的な拠点です。水揚げから出荷まで、漁師の活動を支える総合的なサポート体制を整え、地域の水産業の活性化に取り組んでいます。さらに、資源管理や安全対策にも取り組んでいます。

公益社団法人 島根県水産振興協会
栽培漁業センター

TEL. 08514-6-1131

水産資源を持続的に利用するため、マダイやヒラメ、イワガキなどの種苗を人工的に育て、天然の海へ放流する「栽培漁業」や「養殖業」の安定化を推進する施設です。

株式会社日本海隠岐活魚倶楽部

TEL. 08514-6-1385

西ノ島町内で水揚げされた水産物における島内・島外への流通を担っている会社です。漁師が獲った魚介類を陸上水槽で丁寧に管理し、注文後に一尾ずつ梱包して活きたまま本土の飲食店へ販売しています。隠岐の活魚パックのほか、周辺海産物や加工品の販売も行っています。

西ノ島町水産物処理加工施設

TEL. 08514-6-1220(西ノ島町役場産業振興課)

水産資源を有効に活用するために設立された施設で、特殊冷風乾燥機や殺菌装置、巻締機などの設備が揃っています。各種缶詰や干物類など、さまざまな加工品の製造が可能です。

西ノ島町海藻加工施設

TEL. 08514-6-1220(西ノ島町役場産業振興課)

未利用資源であった海藻を有効に活用するために設立された施設で、ここでは漁師からワカメをはじめとする海藻類の受け入れを行い、塩蔵ワカメや乾燥製品、さらにはサプリメント原料など、さまざまな加工品の製造が可能となっています。

いわがき共同作業場

イワガキ養殖に携わる漁師が共同で利用する施設で、出荷に向けたイワガキの磨き作業などを行う作業場です。施設内には、紫外線殺菌装置を用いた殺菌水槽やイワガキ選別機などが整備され、安全で品質の高い「隠岐のいわがき」を出荷するための体制が整えられています。

SUPPORT PROGRAM

支援制度

次世代を担う人材を早期にしっかり育成できるよう、給付金など初期投資に対する支援を行っています。

沿岸自営漁業自立支援事業

■対象者 自営漁業認定新規漁業者

新たに沿岸自営漁業の経営を開始しようとするもので「漁業経営開始計画」を作成し、認定を受けたもの

沿岸漁業スタートアップ事業

沿岸自営漁業を開始する際に必要な漁船、漁具、機材等の取得に対して補助。

助成額:事業費の2/3以内(上限200万円)

自営漁業者自立給付金事業

新たに沿岸自営漁業への定着を支援するための給付金を支給。

交付先:新規就業者 ※条件あり

助成額:月額最大10万円(最長5年間)

島根県隠岐支庁農林水産局水産部

TEL. 08514-7-9106

新規漁業就業者研修事業

新規自営漁業就業者研修支援事業

新規漁業種を習得しようとする者に対し研修を行う既存の自営漁業者へ研修費用を助成。

交付先:研修の受入漁業者

助成額:月額3万円(最長2年間)

Uターンまき網漁業就業者研修支援事業

Uターン者をまき網漁業従事者として雇用する場合の研修費用を助成。

交付先:Uターン者を雇用する事業者(船団)

助成額:年間1名まで 月額12万円(1年間)

西ノ島町役場産業振興課

TEL. 08514-6-1220